グアム日本人会ホームへ 会員の広場
日本人会ニュースグアム日本人会年間活動・行事紹介秋祭りクラス・同好会・サークル活動紹介
日本人学校・補習授業校図書室からコラム・暮らしのページ総領事館からのお知らせ会員の広場リンク


「モンゴルの旅 チンギス・ハーンのふるさとを訪ねて 3」 小林正典
2月/01

ナーダムの祭典

 今日は有名なナーダムの祭典を見に行く日である。これは(全モンゴルスポーツ大祭)とでも言えるもので、毎年7月11日と12日の2日間にわたって行われ、種目はモンゴル相撲、競馬競技、弓技など伝統的なスポーツが中心だ。
会場の国立スポーツセンター周辺はもう朝から人と車で大変な騒ぎだ。やたらに青い制服のおまわりさんが目立つのは、社会主義時代の名残りか。

 人を掻き分けやっとスタンドの入口にたどり着く。ここにもまた何もしないおまわりが沢山立っている。ゲートでチケットの二重チェックを受けスタンドの中にやっと入れた。スタンドの正面席は大統領をはじめ各国大使他オールVIPで埋められている。我々の予約席も正面左のまずまずの所でひと安心。
馬の国モンゴルだ。さすがに開会式の騎馬隊の行進は勇壮華麗ですばらしかった。上空を飛ぶヘリから次々に飛び降りて来るスカイダイバーの色とりどりのパラシュートが快晴の青空に映える。フィールド内のターゲット地点への着地も正確で観衆も大拍手。民族衣装の青年や美女軍団のマスゲームも美しい。モンゴルの女性はカルシュウムの多い食生活のせいか、骨組みががっしりしているが、脚がまっすぐ伸びて長いし、姿勢が良いので本当にスタイルが素晴らしい。街を歩く女性たちのミニスカートからすっと伸びたオミアシも実に眩しい。

 大統領の演説が始まると急に会場のPAシステムがおかしくなって、声は割れるし、情けない音になって聞くに堪えない。大変だ。これじゃ音響担当はこの後首か左遷だ。でも今は民主国家になったから大丈夫かななどと余計な事を心配しているうちに、直射日光でスタンドの気温はジリジリと上がり、脱水症状を心配する状況になってしまった。もう少し太陽が真上に動くと我々の席もスタンドの半屋根の陰に入って涼しくなるのだが、それまで果たして命がもつかどうか?そういえば今朝のTVでも異常高温と告げていた。相撲の選手は薄着だからよいが、伝統の厚手の衣装を着てグラウンドに立ちっぱなしの弓術の選手は気の毒みたいだ。

 全国から選抜された512人の相撲の選手の名前が紹介され、戦う前の見得切りおどりみたいなことが終わると、歓声と共にいよいよ相撲トーナメントが始まった。相撲は男子だけで、膝が地面に着いたら負けらしい。ソドグという両腕と背中だけを覆う短いシャツを着て、マラカイという帽子をかぶり、シューダクというブリーフパンツに、グダルというブーツを履く。日本の土俵で旭鷲山がよくやるあの前かがみの格好で先ず組み合う。大男も小男もいる。グラウンドに広がって一度に何十組もの取り組みがはじまり、どんどん勝負がついてゆく。勝者は両手を広げて(鷲の舞い)を踊る。。時間制限なし。ちっとも勝負のつかない長いのが残りはじめた。半日はおろか夜まで頑張る組もあるとのこと。それではとても付合いきれない。

 かつて12年間横綱の座を守った伝説的な勇者も居たそうだが、優勝者の賞金は今年300 USドル位とのことだ。やはりお金より名誉なのだろう。優勝者は(国の巨人)として国民的英雄に祭り上げられる。

 ところで、相撲のゾドグ(シャツ)の胸の部分が今はオープンになっているが、昔は長袖のTシャツみたいに胸も背中も覆っていたのだそうだ。それが現在の胸を開けるスタイルに変わった理由は、ある年の優勝者が実は女性だったことが後で判って大騒ぎになったから。つまり、オッパイの有る無しが直ぐ判るスタイルに変えたのだそうだ。ガイドのバチカ君は大真面目な顔してそう言ったが本当だろうか。もし本当ならモンゴルの女性には呉れぐれも気をつけねばならない。

 スタンドの気温は益々上がり、このままでは短期即製のミイラになりそうなので、一同長居は無用とスタンドを後にし、冷房の効いたレストランで元気をつけようと韓国料理店にゆく。トルネードというなんだか恐ろしい名前のレストランで、なんと熱々のチゲ鍋とキムチのランチを食べる。ここのウエイトレスは何だか夜の雰囲気を持った韓国人女性ばかりで、全員そろって10センチ以上もありそうな厚底サンダルを履いている。厚底で熱々のチゲ鍋を運んでくるウルトラ芸を見せられて、お陰でこっちは体の芯まで涼しくなった。
やはりこの店は夜はBARをやっていて彼女たちは夜のホステスが本業とのことだが、もしそこで飲んだらさぞやお値段はトルネードだったろう。

 韓国ランチの後は弓術の会場へ。メガネを掛けた人の居ないモンゴルでも、この弓術の選手たちは特に目がいいとのこと。男性70M,女性60Mの距離から地面に置かれた10センチ角位の赤い的を狙って、かなり放物線状に矢を放つ。細かいルールは知らないが、放物線状に狙うため一見空にむかって矢を放っている感じだが、命中率の高いのには驚いた。的の両脇には民族衣装を着た審判員が数人立っている。いよいよ矢を放つ直前には、応援団らしき一団が審判員の後ろに出てきて大声で歌を歌う。歌は応援歌と言うよりは、のんびりとした牧歌的な調べで、それが会場の雰囲気を和らげていた。

 また、一行のうち10名はモンゴルオペラを観にでかけた。モンゴルのオペラは世界的水準にあり、つい先日は日本から三枝成彰が観に来ていたそうだ。

 弓術の次は長距離競馬のゴールを見るため、郊外のゴール地点までバスで出かける。何百頭という馬が走ってくるので危険だとのことで、なんと我々の見物ラインはコースから二キロ以上も離れているではないか。遥か向こうの山すそを馬群が土煙を上げて走ってくるのは判るが、我々はモンゴル人ほど目が良くないし、土煙だけでは興奮のしようもない。これじゃあウマくない。

 ジョッキーは少しでも軽くなければ不利と言うことか、騎手は全て6歳から12歳までの少年たちだけで大人は乗っていない。そういえば昨日から街中で緊張した面持ちで馬に乗っている少年を見かけたが、きっとあの子達も今日の晴れ舞台に出場しているのだろう。競馬が終わると車の渋滞に巻き込まれて簡単に市内には戻れなくなるので、少し早めに引き上げることにした。

 市内に入るとあちこちに酔っ払いが目に付く。ナーダム祭が近ずくと役所も銀行もそわそわして仕事が手につかなくなるのだとガイド君が言っていたが、とにかくナーダムとはスポーツ行事だけでなく、国じゅう町じゅうが浮かれ騒ぐお祭りらしい。千鳥足の酔払いが歩道からいきなり車道に飛出してくるので、バスは何度も急ブレーキを踏む騒ぎだが運転手は当たり前みたいな顔をしていて怒らない。むしろドライバーもお祭り気分を楽しんでるみたいで、こちらも何だか楽しくなってきた。

 市立公園内の円形レストランで歯ごたえのあるモンゴル風ビーフステーキで夕食をすませた後、市の中心のスフバートル広場へ祭りの夜の散歩に出かけた。広場内の二箇所にステージが設けられ、どちらも歌や踊りやバンド演奏で大張り切りだ。しかし、不思議な事に二つのステージともエンターテイナーを照らしているスポットより、見物客を照らしてる照明の方が大きい。ステージを見ようとすると、観客に向けられた照明がまぶしくて良く見えないし、頭がくらくらしてくる。だが、モンゴルの人たちは皆平気でステージを楽しんでいる。やはり此処の人たちの目は特殊なのだろうか?それとも今夜は書き入れ時と頑張っているであろうスリさんたちから観衆を守るための照明なのか?

 昼の暑さが嘘のように急に冷え込んできた。夜の街中をホテルまで皆で歩いて帰ったが、競技場の辺りで打ち上げているのだろうか、途中、遠花火が澄んだ夜空に美しかった。

 ところで、こんや夕食をとった公園のレストランで歌っていた女性歌手の歌や、スフバートル広場のステージで歌った男性歌手の唄の中に、まるで日本の追分節や馬子唄にそっくりの旋律が有るのにはびっくりした。じっと耳を傾けていると、日本の民謡を聞いている気分になってくる。そういえば作曲家の神津善行氏が馬子唄のルーツを求めてモンゴルを旅するTV番組の話を誰かがしていたが、馬子唄、追分のふるさとは此処なのかも知れない。大草原の峰みねを朗々と渡ってゆくモンゴルの民謡、北の海原の波を越えてゆく江差追分、山また山の峠道にこだまする小諸馬子唄。いずれも大自然の風の中から生まれてきた素晴らしい哀調だ。お互い血がつながっていたとしても不思議ではない。

前へ 次へ



会員の広場トップへ戻る


グアム日本人会ホームへ
ホームへ戻る



日本人会ニュース | グアム日本人会について | 年間活動・行事紹介 | 秋祭り | クラス・同好会・サークル活動紹介 |
日本人学校・補習授業校 | 図書室から | コラム・暮らしのページ | 総領事館からのお知らせ | 会員の広場 | リンク



Designed by Ko'Ko' Planning & Co.

Copyright © 2000-2008 JAPAN CLUB of GUAM, All Rights Reserved.