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「グアム秘境銘選49話」 ケン・芳賀
4月/01

 グアムには数々の秘境がその奥深いジャングルの中に包み込まれているのだが、海岸地帯にも絵になるような景勝があちらこちらにあるのだ。多くは太古チャモロ人が住んでいた、といわれる村落跡の風景が見られるが、前の戦争にまつわる場所も数多くある。
 今回はその、景勝と戦争悲話にまつわる見落とされがちな場所を紹介する。

5話・巧みなトーチカ跡、自然と不自然の調和アパカ岬(Apaca Point)

 米軍の上陸に備えて築きあげた、天然の岩場と人工の拵えを見事に調和させ縦横に駆使した塹壕が、アガット海岸の最北端、現在のアストン・オン・ザ・ベイホテル近くに在る。
 この場所はメイン通りからやや外れた海岸寄りにあるので訪れる人が少ないが、パーク&レクリエーションによって、とても綺麗に手入れされ海岸公園として最良の状態にある。このパークの磯辺にもっこりとした小さな岩山があり、その周囲に塹壕の跡が散見出来る。

 塹壕は岩にびっしりと絡み付いた大小様々の木々に覆われており、その下方にコンクリートで設えた小さな銃眼がポッカリと口を開けている。この塹壕内へは後方の岩場に廻り、大きく割けた岸壁の間をすり抜けるようにして入る。中は広さにしておよそ畳で2畳程、高さは1m内外か。非常に手狭な感じがするのだが、此所には常時2〜4名程が待機していたのであろうか。戦争の惨禍を被ってきたのであろうが不思議と陰惨なイメージがない。厚さ70・程のコンクリートの壁には銃眼が2箇所づつあり、その穴から真向かいにあるアストン・オン・ザ・ベイの建物の全景が覗ける。
 下の銃眼は足元にあるのでこれは伏せたまま射撃したものだろう。上方の銃眼から彼方に延々と広がりを見せるフィリピン海を見続けていると時間が逆戻りするみたいな錯覚がして不安がよぎるから不思議だ。

 再び外に出る。うだるような暑さで塹壕から周囲の環境を眺める。と、これが実に美しい景色で塹壕跡の無気味な不安さと較べると意外な解放感が湧いてくる。透き通った浪と海中にそびえ立つ奇怪な形をした高さ3m程の天然の岩山。
 これが一幅の絵のように周囲とバランスを保って心を奪う。1945年7月の米軍上陸作戦はまさにこの眼前で行われていたのだが、此所に待機していた日本の兵隊達もこの風景を見ていたのだろう、そう想うと時代の盛衰が浮かんできて胸が痛む。痛みと和みが一体化した印象に残る風景である。

【行き方】マリンドライブを南下して海軍基地前を左折し、道なりに進むとやがてイン・オン・ザ・ベイのホテルが見えてくるが、その手前の三叉路を右折する。

*「グアム秘境紀行」についてのお問い合わせはkenhaga@guamcell.netへどうぞ

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